遺産分割で揉めないために。話し合いと弁護士ができるサポート|福岡・天神
身近なご家族が亡くなられた後、相続手続きを進めるなかで、多くの方が不安を感じるのが「遺産分割の話し合い(遺産分割協議)」です。
財産の額が大きいかどうかに関係なく、「誰が、どれだけ受け継ぐか」という問題は、家族間の思い出や、長年の関係性とも深く結びついています。
- 「自分が親の介護をしてきたのだから、その分、多く受け取るべきだ」
- 「自分は長男として、家を継ぐのは当然だ」
- 「兄だけが生前に援助を受けていたのは不公平だ」
こうした言い分は、どれも間違っているとは言い切れません。しかし、多くの場合、これらが感情的な主張になることも事実です。
お互いに感情的な主張をしてしまうと話し合いは進まなくなり、関係が悪化してしまうこともあります。
相続は法律の手続きであると同時に、「家族の記憶と向き合う時間」でもあります。
だからこそ、冷静さを保ちながら、丁寧に進めていくことが大切です。
遺産分割とは?
遺産分割とは、亡くなられた方が残した財産を、相続人同士の話し合いによってどのように分けるかを決める手続きのことです。
遺産分割の対象となる財産には、以下のようなものがあります:
〈対象となる主な財産〉
- 預金
- 土地・建物(自宅・実家)
- 車・貴金属・家財
- 株式・投資信託
- 生命保険金(契約形態による)
遺産分割は、財産を単に「等分にする」ものではありません。
相続人同士が納得できる形で分けることが重要です。
そのために必要なのは
- 相続人が誰なのかを確認する
- 財産の内容と評価額を明らかにする
- 話し合い(協議)で合意を形成する
という順番です。
「もめやすいケース」には共通点があります
遺産分割で対立が起きやすいケースには、次のような特徴があります。
| よくある状況 | 説明 |
| 相続人が多い | 人数が増えるほど意見が分かれやすい |
| 実家や土地など“分けられない財産”がある | 誰が住むか・売るかが争点になりやすい |
| 生前贈与・介護の負担に差がある | 「不公平だ」と感じやすいポイント |
| 遺言書が明確でない | 内容解釈の違いで感情が動きやすい |
つまり、「話し合いのテーブルについた時点で、すでに前提が揃っていない」 ことが多いのです。
これを解決するためには:
- 「まず事実をそろえる」
- 「そのうえで選択肢を整理する」
という順番が効果的です。
感情的な衝突を防ぐために
遺産分割の話し合いが難しくなる最大の理由は、「理由を言葉だけで説明しようとするから」です。
「理由を言葉だけで説明しようとするから」です。
たとえば:
- 「自分は介護をしてきた → だから多くもらうべき」
- 「家を守りたい → だから自分が相続したい」
これはどちらも “間違いではない想い” です。
問題は、その想いが第三者に客観的に理解される形になっていないこと。
そこで重要となるのが、
感情ではなく「情報と手順」を軸に整理することです。
遺産分割を進める手順
遺産分割は、いきなり話し合いから始めると、ほぼ必ずつまずきます。
その理由は、スタートの段階で「認識の共有」ができていないためです。
スムーズに進めるための流れは、以下の5ステップです。
ステップ1:相続人を確定する
まず、「誰が相続する権利を持っているのか」を明らかにします。
戸籍を収集し、家族関係を正式に確認することで、話し合いの前提が整います。
→ ここが曖昧なまま協議をすると、後から「実は相続人がもう一人いた」という事態も起こり得ます。
ステップ2:遺産(財産)の内容を洗い出す
預金・不動産・保険・証券・家財など「プラスの財産」だけでなく、住宅ローン・未払税金など「マイナスの財産」も漏れなく把握します。
→ 曖昧なまま話し合うと、後から新しい財産が出てきて再協議となり、関係が悪化しやすいポイントです。
ステップ3:財産の評価(価値)を明確にする
同じ不動産でも誰が評価するかで評価額に大きな差が生じることは珍しくありません。
そこで、複数の不動産業者に査定を依頼して平均値を取る方法や相続人全員が納得して選んだ不動産鑑定士に鑑定を依頼する方法など、相続人全員が評価額に合意するためのプロセスを経ることが重要です。
ステップ4:相続人全員で話し合う(遺産分割協議)
以上のような情報を共有した後に初めて「どう分けるか」という意見を調整することになります。
この段階で出てくる意見によっては、各人の取り分(具体的な相続分)に差が生じることもあり、最も意見の対立が先鋭化する可能性があります。
話し合いを進めるコツは、互いの言い分のうちに合意できる部分があれば、それを先に合意してしまい、争いがあるところは後回しにすることです。
もちろん、お互いの言い分が違い過ぎると、そのような段階的な進め方すら難しいのですが、一度に話を終わらせようとするのではなく、お互いの意見の食い違いを認めつつ、次回までの宿題をそれぞれが持ち帰る、といったやり方をすることも有効と考えられます。
協議の度に議事録を作成し、進捗を管理することも必要です。
ステップ5:合意内容を文書にする(遺産分割協議書)
話し合いがまとまったら、協議書を作成し、金融機関での名義変更や、不動産登記の手続きを行います。
→ 書面化しないまま「口約束」で済ませると、後からのトラブルにつながる恐れがあります。
「揉めそうだな…」と思った時が弁護士に相談するベストタイミング
遺産分割について弁護士に相談に来るタイミングとして多いのは、「話が完全にこじれてから」です。
もちろんその段階からでもサポートはできますが、弁護士法人 本江法律事務所として強くお勧めするのは、「揉めてからではなく、揉めそうだと思った段階で相談すること」です。
その理由は、次のとおりです。
- 早い段階なら「感情的対立」が激化する前に、協議の進め方に対するアドバイスもできる
- 対立が鮮明でなければ、第三者が入ることについて、事前に段取りを組んでもらうことができる
- 本人同士が直接言わない方が良いことも、弁護士が伝えることで「感情的対立」を回避できる
つまり、私たち本江法律事務所は、弁護士を「争うため」ではなく、「家族関係を損なうことなく話し合うため」に利用して欲しい、と考えています。
本江法律事務所ができること
遺産分割は、単に財産を分ける手続きではありません。
その背景には、家族の歴史や、亡くなられた方への思い、これまで伝えられなかった自分がしてきたこと、相手に感じていたが言えなかった不満など、言葉にすることが難しい感情の積み重ねがあります。
だからこそ、話し合いをスムーズに進めるためには、
「事実の整理」 と 「感情に配慮した調整」
この2つが非常に重要です。
本江法律事務所では、次のような点を大切にしています。
1. 状況整理から一緒に始めます
「何が問題なのか分からない状態」でも大丈夫です。
財産の概要や相続人の関係性、現状の温度感を丁寧に伺い、今どこにいるのか、次に何をするべきかを一緒に整理します。
2. 中立的な視点から、分かりやすく説明します
「なぜこの選択肢があるのか」「それを選ぶと何が起きるのか」
当事者がどのように判断すればよいか、専門用語を知らなくても分かるように説明します。
当初考えていたのとは違う結果となることもあるかもしれませんが、それでも納得できる形で進められることを重視しています。
3. 話し合いの“前に立つ”ことで、関係悪化を防ぎます
家族の間では、直接言いづらいことが必ずあります。
- 「本当は家を売りたいけれども、愛着がないと思われそうで、言い出しづらい」
- 「兄が自分にばかり有利な分割の仕方を高圧的に言ってきて、どう反論したらいいか分からない」
- 「そもそも何をどう伝えたらいいのかが分からない」
こうした時、弁護士があなたと相談して、どのように説明するかを考え、代わりにそれを伝えます。
第三者が入ることで、心の平穏を取り戻すことができ、冷静に相手の言い分に耳を貸すことができるようになります。
4. 必要な手続きもワンストップで対応
- 遺産分割協議書の作成
- 銀行での名義変更
- 不動産登記手続きの連携(司法書士等)
- 相続放棄や調停の手続き など
実際に合意した後の作業も、それなりに大変なことが有ります。
「書類の準備が大変で止まってしまう」ということがないように、実務まで丁寧にサポートします。
やさしい結び(まずはご相談ください)
遺産分割は、財産を分けることだけが目的ではありません。
これまで色々なことがあり、支え合ってきた家族の関係を、これからも大切にしていけるのかどうか。これからの人生の選択の場です。
私どもは、関係をどうしていきたいか、というご本人の気持ちを大切にしています。
もちろん、言いたいことを我慢せずに言いながら、家族のつながりも大切にすることは、簡単ではありません。しかし、
「このまま話し合いを続けていいのだろうか」
「何をどこまで主張していいのか分からない」
少しでもそう感じたら、まだ遅くありません。その段階でご相談いただくことで、対立が深まる前に整理ができます。
福岡の天神に事務所のある弁護士法人 本江法律事務所は、初回相談無料でお話を伺っています。
対面・電話・オンラインにも対応していますので、どうぞお気軽にご連絡ください。
一人で抱え込む必要はありません。
私たちが、あなたの大切な家族のつながりを守りながら、丁寧にサポートいたします。
福岡で遺産分割の話し合いに不安がある方へ。揉めやすいポイントと、スムーズに進めるための手順、弁護士ができるサポートをやさしく解説。初回相談無料。
